県立鎌倉高校サッカー部


<コラム>

『日本VSオーストラリアA』

 

決定力不足、単なるゴールを奪う意欲だけの問題ではない気がした。
最終勝負の確信。絶対ここに来るという確信。ゴロなのか、頭なのか、ボレーなのか?

その中でもどこのポイントに来るのか?そこまでのイメージの共有があって、確信があって、そしてゴールが生まれるのかな。当然、確信をもって、ボールを呼び込むということは、ゴール前への入り方も変わってくる。
決定的なチャンスであった長谷部のボレーは一歩入りすぎたと思うし、玉田のヘディングは、長友からこのスペースにボールが入ってくるという確信はあったが、頭に来るという確信を持っていなかったと思う。足にくるか頭にくるか確信を持てず、ヘディングしたようには見えた。(まあ、“そんなの反応しろよ”といえばそれまでだが。。)

前半はラインを作る4バックの背後にタイミングを見ながら田中達也と玉田が入り込んでいく。 特に右サイドに流れながら。背後を突いておいて、次は変化をつけてトップに当てながら、三人目が2列目から飛び込んで一瞬の数的優位を作り出し、アタックする。
クサビを入れるタイミングがポイント。クサビに対するDFは、インターセプトを狙いにくる。そのインターセプトを狙うタイミング、その前にクサビを入れ、インターセプトさせないで、攻撃にスイッチを入れる。
横から縦への変化が攻撃のスイッチ。スイッチを入れるタイミングの共有が必要。中村俊輔はいいが、田中達也・長友はそのタイミングを逸した。(イメージができていない)

気になった点。 松井は相変わらず様子見が多く動きが少ないし、長友のポジショニングは鎌高の同じ課題を抱えていた。そして闘莉王の中盤につけるパスタイミング。ありゃ、中盤はやりづらくしょうがないな。昨年レッズで中盤に入っているはずなのに、学習していないな。背後のパスを狙うこと自体はいいが、判断とコントロールを早くして欲しい。
アタッキングゾーンでの横から縦へ。その時の周りの動き。誰が楔を受け、誰がその横を抜けていくのか。コンビネーションと即興性。

ゲームの流れは、動きの悪かった松井の交代を機に一気に日本ペースに。大久保が左外にはりだし、前へ仕掛けようと細かくステップする。右にいた中村俊輔が中央に入り込み、内田が高い位置へ。長谷部・遠藤・俊輔+田中達也・玉田が接近・連続し、的を絞らせない。相手守備を中に寄せて置いて、中をケアしてきたところを、高い位置で展開しサイドから最終勝負。最終勝負イメージはDFラインとGKスペースがあれば早く仕掛ける。

ダメならゴールに向かう斜めのパスで、斜めにゴール前に走り込む選手に合わせながら、3人目が連動していく。それも合わなければ、横パスで時間を作って縦へ入れてスイッチオン。接近・連続。

中村俊輔は日本のゲーム全体のリズムは、もちろんのこと、他の選手のプレー、精神面もリードした。つまらないミスが起こらないよう味方のプレースピードを調節した。パスのタイミング、今は入れてこい、今はダメと、ボールの転がりと相手の守備の狙い(つまり状況の変化)に合わせて、細かく指示を出す。相手とぶつかりながらプレーする場面が少なかったはずだ。相手の守備の狙いどころを外し、勢いを殺してリズムを落ち着かせた。
直接的なプレーに見えてこない影響力。中田英とはまた異なるリーダーシップ。

逆に言えば、中村俊輔がいない代表は危険だ。やはり別格の輝きを見せていた。

オーストラリアは結果として、0点に抑え目的は達成しただろう。ただ、効果的な守備ができなかった。ラインを下げて、山脈を作り、単純なハイボールは跳ね返していたが強固な守備組織を作ったわけではない。日本に何度も決定的場面を作られている。満足しているような会見だったが、結果には満足。といったところだろう。

松井を前半で変えておけば、後半スタートからリズムが出て、攻め疲れた後に岡崎投入で、再度エンジンがかかったのに。最後の時間帯に詰めきれなかった。最後は長身のケネディがトップに入り、その対応で攻撃の意識がそがれて終わってしまった。

岡田ジャパンはチームコンセプトの浸透という意味ではいい方向に向かっている。

が、日本化という意味では試行段階という感じかな。