県立鎌倉高校サッカー部


<コラム>

『オシムジャパンの今後』

 

オシムジャパンが船出した。2試合を消化し、代表メンバーの選考、召集方法、練習内容等々、

毎日のようにマスコミを賑わせている。話す内容は誰でも言うようなこと。でも、聞き手のことを考え、いつのまにか動かしてしまうところが実に巧妙。一般社会のマネージメントと同じだね。

私は、ジェフ時代からとても興味があって、昨年の秋に千葉県の市原まで練習を見に行ったことがある。グラウンドに入れたので、選手が練習をしている数メートル横で見ていた。特に、ロープで仕切られているわけでもなく、私の他に熱心にメモを取る人が一人だけ。マスコミもいない。選手の中には、当然、今の日本代表の巻選手も阿部選手もいた。グリッドの中で数種類のポゼッション練習をやっていたが、色々なビブスの色を使うためルールがわからない。選手たちは、当然ルールがわかっていて、一定の決まりの中プレーしていた。解読しきれず消化不良であったが、DFのポゼッション練習は参考になった覚えがある。

ジェフのオシムサッカーを見ていて感じていたことは大きく2つ。

@     バランスを崩しながら、バランスを取ること

A     前方へのトライアングル

私のサッカーをやっていた時代は、“バランスを取ること”がとても重要だった。特にボランチも含めたDF陣。バランスを取るということは、極端に言うと、後ろ気味にポジショニングし、次の準備をするために止まってしまうようなイメージだ。ボールの横、もしくは後ろにサポートし、パスミスが起こり取られてもいいように次に対応できるよう“バランスの取れた”ポジショニングをする。たまに、チャンスとみるや上がっていき味方を追い越していく。そのほうが相手にとってイヤなプレーだが、そんな動きは少なかったように思う。

ジェフのサッカーは、動きながら後ろ方向のバランスを崩し、前の方向でバランスをとっていく。ボールを頂点に前方にトライアングルを作っていくイメージだ。素早く前方のスペースに出ていき、前方に二つのパスコースを作る。そこで数的優位ができ大きなチャンスを作り出せる。これは、“もし取られたら”のリスクも伴うが、逆サイドのカバーの意識や、少ないDFの状況でも、次のボールの出所へのタイトなマークの準備をし、対応しているうちに、前の選手を全力で帰らせる。

特に、ボール技術の高い選手ほど、ボールが欲しいから横か後ろでサポートしたがる。相手のマークも甘く簡単にボールを受けやすく、ボールを受けて自分からいいパスを狙いがちだ。前方に出て行けば、相手のマークがきつくなり、自分がオトリになってしまいパスの出てくる確率が低くなる。本人にしてみれば無駄な動きである。ただ、チームにとってはスペースを空けるいい動きになる。空いたスペースに誰かが入ってきて、ボールを受け、前方に出た選手は、3人目の動きによってより相手のゴール前で高いボール技術を生かすことができる。

 

ところで、オシムのメンバー選考はどんな意図だろう。

“水を運ぶ人”は選ばれているが、“水を運ばない人”が選ばれていない。

選ばないことで“水を運ばない人”が“水も運べる人”になるように仕向けるのか?

はたまた、そのままでいくのか?

世界を相手にした場合は、きっといいサッカーをしてくれると思うが、アジアを相手にした場合、どう戦うのだろう?

さて、海外組も含めて今後がおもしろい。