県立鎌倉高校サッカー部


<コラム>

『日本代表のW杯メンバー選考とその雑感』

 

いよいよ515日にワールドカップの日本代表が発表される。フランス大会、日韓大会では落選のドラマがあった。今回は「大きな変更はないのでは」といわれているが、当落線上の選手は今回もいて、選ばれる選手、選ばれない選手がでてくるので大きな話題となることだろう。個人的には、柳沢選手の動向が気になる。サッカー選手のお手本のような動き出しと受け方を何度も繰り返す。その動きの美しさがとても好きだ。ただ、足を骨折してリハビリ中ということで、選ばれるかどうか微妙なんだよね。ただ今日、キリンカップのメンバー発表で「柳沢については心配していない」という監督の発言があったようだ・・。イングランド代表のエースも、骨折なんて話が出ているがどうなることやら。

自分の経験からすると怪我をすると、本調子になるまで時間がかかる。まあ、高校生ぐらいなら全然気にしなかったが、上のレベルにいけばいくほど、ごまかしが効かなくなる。

だから、柳沢選手は選ばれても少し心配だな。

 たとえ、代表メンバーに選ばれても、次はレギュラー争いがあるわけで、選手は常に競争にさらされている。緑のピッチで自分が何を表現できるか?頼れるものは自分の持っているものだけだし、自分がやってきたことだけだ。これは、日本代表に限ったことでなく高校生にもいえることでレギュラー争いは当然あるだろう。まず試合に出るために自分の持っているものを出来る限り高めること。例えば、シュートを10回中7回サイドネットに蹴りこめたとする。それを、89回できるように練習して欲しい。 “インサイドキックなんて簡単だ。ほら、まっすぐ味方の足元にいくだろ,俺はできるんだ”なんて考えていたら大間違いだ。その球筋はどうなの?強さはどう?味方の左右狙った足に蹴れているの?それが、百発百中なの? サッカーにここまででいいなんてものはないんだよね。

前回落選でとても悔しい思いをした中村選手。落選という結果を受け止めて、自分を成長させるビジョンを描き、海外に渡り一回りも二回りも成長してきた。日韓大会で正GKの座を楢崎選手に譲った川口選手もしかり。この不遇が彼らにとてつもない大きなパワーを与えたことだろう。負けることで多くのものを得ることができるし、負けないと気がつかないものがある。負けた悔しさとか試合に出られない悔しさは次へのパワーを生む。でも負けて「あー、悔しいなあ」と思うだけでは脳がないし、次には全くつながっていかない。負けたことや試合に出られないことで、何で負けてしまったのか、なんで駄目だったのか?を考え、次に自分を成長させるための行動のビジョンを描けるかが大きなポイントになる。自分に何ができて何ができないのか?どこを伸ばせばもっとよくなるか?どこを改善すれば、もっといいプレーができるようになるのか?キックが下手ならば、練習後に壁に向かって何度でも蹴ればいい。ヘディングができないなら、ボールを投げてもらって何度でもヘディングしてみよう。得点を決められないなら、ボールをたくさん集めてシュート練習を100本200本でもすればいい。センタリングができないならば、FWの選手をつかまえて、センタリングを何本でも蹴ればいい。当たり負けするなら、筋力トレーニングをすればいいし、サッカーのやり方がよくわからないのであれば、Jリーグや世界のサッカーを見ればいい。ただ、普通にみんなと同じ練習だけしていたって駄目なのだ。自分で考えて行動していかないとね。シュートに関して、例を出すと、じゃあ通常の練習中に自分がシュートを打つ回数って何本ぐらいだろう。例えばゲーム形式の練習なら、5本がいいところではないか?練習試合の日ならまあ多くても、試合前の練習で5本、試合で3本ぐらいだろう。たったの8本しか打ってない。それだけの練習で、次の試合のチャンスにゴールを決められるのか?? 

自分がうまくなるためのビジョンを描き行動すること。それが、最も自分の身につく練習になるだろう。監督やコーチがサッカーをするのではなく、自分がサッカーをするのだ。自分がどうしたいのかという志と自ら考えて行動していく力。うまくなるための魔法なんてどこにもない。もしも、それが自分でわからなければ、監督やコーチに相談するのもひとつだろう。