メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」





「主は目を留めてくださる」      ルカによる福音書 1章39−56節
 
 マリアは、天使から男の子の誕生を予告されると、ヨハネを身ごもった叔母のエリサベトを訪ねました。そこで歌ったのが「マリアの賛歌」、マグニフィカートです。

 「わたしの魂は主をあがめ、わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます。」
 「あがめる」とはラテン語でマグニフィカートと言いますが、「メガノール(大きくする)」という言葉から来ています。自分が小さくなって神様が自分のうちで大きくなることです。

「身分の低い、この主のはしためにも目を留めてくださったからです。」
口語訳は「この卑しい女をさえ、心にかけてくださいました」です。
 身分の高低ではありません。卑しい者といった方が謙遜で奥ゆかしいというのでもありません。神様の前で誇ることも取り得もない、罪にまみれた卑しい者です。自分をそう自覚しているかどうか、これが信仰の勘所です。さらに、そんな自分を神様が目に留めてくださった。誰にも知られない自分の醜さを知るだけでなく、そんな自分に神様が目を留めて覚えてくださっている。主をあがめるのはそのためです。
これを知ると世界が一変して見えます。日頃、身分・力・富に目を奪われていますが、神様の救いの前には(死の前でも同じですが)それらは何の力もないのです。
苦しい宗教改革の戦いをしたルターは、この歌で勇気を与えられていました。