メッセージ  (説教より)
「ヨハネによる福音書」





「その人を知らない」         ヨハネ 18:15−27 

 ヨハネ福音書は、アンナスもとでのイエス様の裁判の様子と並行してペトロの裏切りを記します。門番の女中に見とがめられ、中庭にいる人々や耳を切り落としたマルコスの身内の者からイエス様との関係を指摘され、鶏が鳴く前に三度、イエス様を否定してしまうペトロの姿です。

 ヨハネ福音書は、罪と弱さを涙の中で確認してイエス様の赦しに生きる備えのペトロの涙は記さず、ペトロのお節介を記します。

 イエス様はゲッセマネの園で「わたしを捜しているのならこの人々を去らせなさい」と言って弟子たちに道を開いているのに、ペトロは剣でマルコスに切り付け、わざわざアンナスの中庭にまで入ってイエス様を裏切ってしまいます。

 善意や熱心であればなにをしてもいいのではありません。これは人の落し穴です。自分の正義観や情熱から、人は神様が命じている以上のことをしてしまい、かえって神様の業を妨害したり、自分が窮地に陥ったりしてしまいます。

 神様は、祭司長達の悪意さえ用いて御業を行なわれます。自分の目先の誠実や正義に立とうとして失敗するのではなく、進みゆく神様の業をしっかり見て、歩みなさいと言っているのです。