メッセージ  (説教より)
「ヨハネによる福音書」


   

「ロバの子に乗る真の王」       ヨハネ 12:12−19

 イエス様がエルサレムに来たと聞くと、大群衆がなつめやしの枝を持って迎えました。彼らはローマの圧政に苦しんでおり、かつてシリアの圧政から自分達を解放したマッテヤの息子達の凱旋とイエス様を重ねあわせたのかも知れません。巡礼者もいます。問題を抱えて巡礼に出ます。巡礼は神に会う旅なのです。そんな群衆がイエス様を大歓迎します。

 その群衆が一週間後には「十字架に付けよ」と叫ぶのですが。

 イエス様は「おまえ達の信仰は本物ではない」と叱責されません。人々の思いと弱さが痛いほど分かっておられたのです。むしろ喜んで、あなたがたは王として私を迎えた。その通りだ。私も王として来た。ただ軍馬にまたがって力で相手を蹴散らす王ではなく、荷を担う柔和な子ロバにのる王なのだ、と人々に示されたのです。

 人生に、「これにて一件落着」といった救いはありません。表面的な安易な解放の約束は物語の世界だけなのです。苦しくつらくはあっても、解決の時まで私たちは荷を担い続けなければならないのです。

 しかし、ただ私が一人これを担うのではありません。ロバの子に乗られたイエス様と共に担うのです。