メッセージ  (説教より)
「ペトロの手紙一」





「霊の乳を慕い求める」         ペトロの手紙T  2章1−2節

 子育てにおいて最も重要なことは、子どもの心が健全に育つことです。「私が私である」ことの自信です。しかもそのことが、自分についてだけでなく、他者についても認めることができるところに健全さがあります。
 子どもの心においてそのような健全な自我が形成される上で大切なことは、親の「無条件の愛情」であると言われます。「条件付き」ではないのです。何ができる、できないに一切かかわりなく、ただ親の「子どもである」から可愛いし、大切であるというメッセージが子どもの心にしっかりと伝わり、子どもの心がそれによって十分に養われなければならないのです。
 子どもの心を健全に育てていくために大切な視点は、子どもは親の所有物ではない、ということです。子どもが健全に育ち、やがて親から自立して、一人の人間として神の前にそして人々の間に生きていくことができるように、神から「託された」存在である、ということです。子どもが親の所有物とみなされる中で、親の愛情が子どもの心に対する「暴力的な支配」となって、子どもの心をゆがめてしまう結果になる危険が大きいのです。
 神は主イエス・キリストの十字架の死によって私たちすべての人間の罪を赦し、すべての人間が主キリストの復活の清き命に与って生きることができるように、救いの道を拓いてくださいました。ここに神の無条件の愛があります。この愛に親自身が養われるのです。親自身が「生まれたばかりの乳飲み子のように」キリストにおける「混じりけのない霊の乳を慕い求める」(2節)ことによって、子どもとの健全な関係を保つことができるのです。