メッセージ  (説教より)
「マタイによる福音書」


「柔和な王として」
             マタイによる福音書21章 1-11節

 主イエスは、ろばの子に乗ってエルサレムに入城されました。これは、主
イエスが旧約聖書ゼカリヤ書9章9節の言葉に従って行ったことでした。「見
よ、あなたの王が来る。彼は神に従い、勝利を与えられた者。高ぶることな
く、ろばに乗って来る。雌ろばの子であるろばに乗って。」この御言葉に従っ
て、十字架の死を謙遜に受け、それによってすべての人間に対する罪の赦し
と救いを実現するためでした。
 十字架の死は、主イエスがそれを従順に忍び抜くことによって、メシアと
しての使命を果たすべき死でした。人々は主イエスに対して暴虐の限りを尽
くしたのです。「これは本当のメシアではない。人を欺き、神を冒涜するもの
だ」と罵りつつ。その人々の罪を主イエスは忍び抜かれたのです。「父よ、彼
らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです」(ルカ23章
34節)と、人々へのとりなしの祈りを献げながら、主イエスは十字架の死を
忍び抜かれたのです。そのように主イエスが愛と信仰をもって十字架の死を
忍び抜くことによって、すべての人間の罪が赦され、すべての人間に罪と死
に勝利する主イエスの復活の命に生きる救いの道が開かれたのです。
 「柔和」とは、重荷を負うことによって心砕かれた者の持つ優しさのこと
です。主イエスはご自分の重荷ではなく、すべての人間の重荷(罪)を忍び
抜かれたのです。計り知れない主イエスの柔和さです。そのような柔和さを
もって、「柔和な王として」、主イエスはろばの子に乗って、エルサレムにお
入りになったのです。この主イエスを心からの感謝をもってほめたたえまし
ょう。