メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」






「その期間を縮めてくださる」     マルコ福音書13章14−23節

 「憎むべき破壊者が立ってはならない所に立つ」(14節)とあります。紀元前167年にシリア王アンティオコス・エピファネスがイスラエルに侵攻し、エルサレム神殿の中にギリシャ神ゼウスを祭る祭壇をもうけ、そこでユダヤ人が忌み嫌った豚を犠牲として献げる礼拝を行ったという歴史的事実に基づいて語られている、と言われます。全く神を畏れない偶像礼拝が行われる時、神でないものが「神」の立場に立つ時、ということです。人間の罪が真にその姿を露わにする「終わりの時」とは、そういう時、ということです。
 その時には「山に逃げなさい」(14節)と言うのです。「山」とは、神との交わりの場、礼拝の場です。あらゆる囚われの思いを捨てて神、主キリストとの交わりの中に逃れよ、というのです。それだけが恐ろしい人間の罪から免れる唯一つの道である、というのです。どんなに心惹かれるものがあっても、それがわが子であっても、その思いを捨てて、わが身一つを携えて、神の御許に逃れよ、というのです。それほどの緊急性が求められているのです。それほどに罪の支配が強力だからです。「それらの日には、神が天地を造られた創造の初めから今までなく、今後も決してないほどの苦難が来るからである。主がその期間を縮めてくださらなければ、だれ一人救われない。しかし、主は御自分のものとして選んだ人たちのために、その期間を縮めてくださったのである。」(19〜20節)とあります。恐ろしい人間の罪が露わになる「終わりの時」に、しかし主イエスは、一人でも多くの者が救われるように「その期間を縮め」つつ、救いの完成者としてご自身を現わしてくださるのです。