メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」






「この世で、百倍を受ける」      マルコによる福音書10章23−31節

 「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。」(23節)、「子たちよ、神の国に入るのは、なんと難しいことか。金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」(24−25節)と、主イエスは弟子たちに言われました。
 どうしたら「富める者」が「神の国」(神の救い)に入ることができるのでしょうか。「富」がいかに深く自らを捕らえ、支配しているか、その自らの貧しい罪の現実を知り、まさにその所で主の御前にひざまずき、「主よ、どうしたらこの罪深い者が永遠の命を受け継ぐことができるのでしょうか」と尋ねる時、私たちは、主キリストが、まさにそのような罪人のために十字架の死を遂げ、復活の命を表し、聖霊の御手をもって救ってくださるお方であることを、感謝と喜びの中に知ることができるのです。そのようにして、この世の富にまさる主キリストの救いの「かけがえのなさ」を知ることができた時、私たちはこの世の富を「相対化」する勇気と力を与えられるのです。
主キリストの救いの尊さを知り、この世の現実のただ中で主の救いに励む者は「この世で、迫害も受けるが、家、兄弟、姉妹、母、子供、畑も百倍受ける。」(30節)と、主は言われるのです。主を信じる者は、その信仰の故に、「迫害」を受けることもありますが、主を信じることによって与えられる、囚われることのない救いの「自由」の故に、利害の絡むこの世の生活の中にあって、豊かな祝福(百倍の恵み)の中に生きることができる、と主は約束していてくださるのです。