メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」






「罪の誘惑」          マルコによる福音書 9章42−50節

 「わたしを信じるこれらの小さな者の一人をつまずかせる者は、大きな石臼を首に懸けられて、海に投げ込まれてしまう方がはるかによい。」(42節)と主イエスは言っておられます。過激なお言葉です。これによって主イエスは、主イエスを信じる信仰者の歩みを守ろうとしておられるのです。
 主イエスを信じる「小さな者」とは、主イエスを信じるすべての信仰者のことを言っているのです。すべての信仰者が神の御前に自分を「小さな者」と自覚するからです。神の御前に「罪」を覚えるからです。主イエスを十字架の死へと導く自らの罪の現実を覚える時、信仰者はだれも自分を神の御前に「小さな者」と自覚せざるを得ないからです。
 そして主イエスは、そのように考えて、ひたすら主イエスの十字架の赦しと復活の清き命に頼って生きようとする信仰者の生き方を本当に尊いこととして、またそれだけが神の救いに生きる唯一の道であるとして、それを守ろうとしておられるのです。
 なぜなら、そのような信仰の生き方を「つまずかせる者」がいるからです。そのような生き方が、この世にあって空しい、愚かな、意味のない、役に立たない生き方であると思わせる現実があるからです。そういう人間がいるからです。その点で「罪の誘惑」を行う者がいるのです。そういう者に対して主は、過激な言葉をもって警告を発し、神の御前に「小さな者」として生きようとする信仰の尊さを守ろうとしておられるのです。それによって主イエスは、そのような信仰が主の教会に満ちることを願っておられるのです。