メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」






「杖一本を携えて」           マルコによる福音書6章1−13節

 主イエスは、将来の弟子たちと教会による福音宣教を覚えて、その訓練の意味を込めて弟子たちを福音宣教の旅に遣わされました。その時、主イエスは弟子たちに「汚(けが)れた霊に対する権能」(7節)を授けられました。
 「汚れた霊」とは、私たち人間の心の中にある、神に対する不従順な自分中心の心のことです。主イエスの救いの真理を疑い、受け入れようとしない心です。主イエスにおける神の救いの真理が明確に示された時、そのような心の不従順が問われるのです。
 主イエスの福音を受け入れる者は、それによって主イエスの清き命に与って、「心清められた」者として生きるものとされるのです。主イエスの福音を受け入れない者は、神の御前に「汚れた」者としてとどまるのです。
 弟子たちが「汚れた霊に対する権能」を授けられたということは、言い換えれば、弟子たちが主イエスにおける神の救いの真理を明確に語る力を与えられたということです。弟子たちが、主イエスを信じて、主イエスにおける神の救いについて語る時、語る弟子たちの言葉の中に、主イエスが聖霊において生きて働きたもうのです。それによって弟子たちの言葉に力が与えられ、福音の真理が明らかにされるのです。そのようにして弟子たちは「汚れた霊に対する権能」を行使することができたのです。
 弟子たちはその権能にのみ頼ったのです。それが「杖一本を携えて」(8節)の福音宣教の旅となったのです。杖一本に頼るように、ただひたすら主のご臨在の恵みに頼ることによって、力強く福音の真理を語る者となったのです。