メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」






「少女よ、起きなさい」        マルコによる福音書5章35−43節

会堂長の家から使いが来て、「お嬢さんは亡くなりました。もう、先生を煩わすには及ばないでしょう。」(35節)と言ったのです。死という絶対的な現実に対しては、主イエスといえども如何ともしがたい、という思いがあるのです。死の「絶対主権性」に服している人間の姿が示されています。
しかし主イエスは、「恐れることはない。ただ信じなさい。」(36節)と言って、会堂長を励まされたのです。主イエスは死の現実にたじろぐことがなかったのです。なぜなら主イエスは、死に勝利する神の全能の命を知っておられたからです。その命に生きておられたからです。その命を信じ、その命に頼ることによって、その命に生きる者となりなさい、と主は言われるのです。
37節に「ペトロ、ヤコブ、またヤコブの兄弟ヨハネのほかは、だれもついて来ることをお許しにならなかった。」とあります。また40節には「イエスは皆を外に出し、子供の両親と三人の弟子だけを連れて、子供のいる所へ入って行かれた。」とあります。厳しく、真剣に、全力をもって死の現実に立ち向かわれる主イエスの姿が示されています。主イエスは、右から左へと簡単に死に勝利されたのではないのです。御自身の全てを捧げて、全能の父なる神に信頼する、その信頼の中で、死に勝利されたのです。ここにすでに、十字架の死に勝利される主イエスの姿が指し示されています。
「タリタ、クム」「少女よ、起きなさい。」(41節)と主は言われました。これからの人生を、主の全能の、罪と死に勝利する命によって生きる者となりなさい。そういう気持ちをこめて、主イエスは少女を助け起こされたのです。