メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」






「安心して行きなさい」        マルコによる福音書5章21−34節

 「十二年間も出血の止まらない」病に苦しむ一人の女性が、自らの深い困窮の中から、今や最後の望みを託す思いで「群集の中に紛れ込み、後ろからイエスの服に触れた」(25節以下)のです。すると女性は「すぐ出血が全く止まって病気がいやされたことを体に感じた」(29節)のです。主イエスご自身もまた「自分の内から力が出て行ったことに気づいて、群集の中で振り返り、『わたしの服に触れたのはだれか』と言われた」(30節)のです。
 主イエスご自身の意志を超えて、主イエスの内から「力が出て行く」という現象は、不思議なことです。天の神ご自身が、主イエスを通して、憐れみの救いの御業を行ってくださったのです。そのことに主イエスご自身が後から気づかれたのです。ご自身を通して天の神が憐れみの救いの御業を行われたことを、後から知られたのです。それ故に主は、「わたしの服に触れたのはだれか」とお尋ねになったのです。神の祝福を受けた者を探し出し、その者の信仰を励まそうとなさったのです。
 多くの人々が主のもとに集まっていたのです。多くの人々が主イエスのお体に触っていたのです。その中で、密かに、後ろから、ほんの一瞬主イエスの服に触れた女性の、その接触だけが、神の祝福受けたのです。その女性の慎ましい、しかし心からの祈りが、神に聞かれたのです。主イエスはそのことを女性に伝えたかったのです。「娘よ、あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。もうその病気にかからず、元気に暮らしなさい。」(34節)というイエスの御言葉にはそのような思いが込められているのです。