メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」






「十二弟子の任命」 マルコによる福音書3章13−19節

 主イエスは、「十二人の弟子」を任命されました。旧約の神の民イスラエル十二部族を念頭において。今こそ、主イエスを信じる「新しい神の民イスラエル」(教会)を形成していくための、基礎となる人々を任命すべきである、と主イエスはお考えになったのです。
 「彼らを自分のそばに置くため」(14節)とあります。何よりも主イエスは、弟子たちを「自分のそばに置くため」に選ばれたのです。それは、弟子たちが、主イエスと共にある生活がどんなに確かな救いの生活であるかを知り、その恵みの中で、力ある福音宣教を行っていくことができるようにするためでした。そのために主は、弟子たちをご自分の「そばに」置かれたのです。
 十二人の弟子たちの最後に、主イエスを「裏切った」ユダの名が記されています。なぜ主イエスはユダを「十二人の弟子」の中に入れたのでしょうか。ここに、将来の教会に対する主イエスの配慮が込められているのではないでしょうか。「ユダ」のような人間もまた、主イエスの十字架の赦しの中にあり、神の救いへと招かれていることを示しているのです。
 なぜユダは、主イエスを「裏切る」ことになったのでしょうか。ユダは、主イエスの「受難」に躓いたのです。主イエスの受難を「受け入れる」ことができなかったのです。どこまでも主イエスが「栄光のメシア」であることを、ユダは求めたのです。そこに、ユダの不従順の罪がありました。しかし主イエスは、そのユダのために十字架の死を遂げることによって、ユダの罪も贖ってくださったのです。ユダもまた、主イエスの十字架の赦しの中にあり、主の復活の命に生きるべく召されていたのです。そのことを明らかにするために、主イエスは、ユダを十二名の弟子たちの中に加えられたのです。