メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」


 「これはわたしの愛する子」

              マルコによる福音書9章2−8節


 主イエスが最初の受難予告(31節)をされた時、弟子たちは深い心の動揺
を覚えました。その後に語られた主イエスの御言葉「わたしの後に従いたい
者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい」も厳粛
なもので、弟子たちは主イエスに従う信仰生活にためらいや恐れを感じたの
ではないでしょうか。そういう弟子たちを励ますために、主イエスの「変貌」
の出来事が示された、と考えることができます。
 「イエスの姿が彼らの目の前で変わり、服は真っ白に輝き、この世のどん
なさらし職人の腕も及ばぬほど白くなった」(2〜3節)とあります。不思議な
出来事です。しかしそれは、主イエスの内面の、隠れた、神と共にある栄光
の姿が、目に見える形で外に現れた出来事、と理解することができます。主
イエスが常に神と共にあり、神の霊によって清められたお方として生きてお
られた、その内面の清さが、目に見える形で外に現わされたのです。
 それによって、たとえ主イエスがイスラエルの指導者たちによって排斥さ
れ、十字架の死を遂げるとしても(それこそが尊いメシアの業なのですが!)、
主イエスが神から祝福された方であることに変わりがないことを明らかに
し、弟子たちの信仰を励まそうとされたのです。
 「雲の中から声がした。『これはわたしの愛する子。これに聞け』」(7節)。
これは、主イエスを信じる信仰が、たとえこの世で高く評価されなくとも、
軽んじられるとしても、この信仰こそ、神の御子、メシアとしての主イエス
の清き命に与って生きる尊い道であることを覚え、自信をもって生きていく
ようにと、私たち信仰者を励ましてくださる神ご自身の御言葉なのです。