メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」


「自分の十字架を背負って」
              マルコによる福音書 8章31−33節

 主イエスの最初の受難予告に衝撃を受けたペトロが、「主よ、とんでもない
ことです。そんなことがあってはなりません」(マタイ16章22節)と言って、
主イエスをいさめた時、「サタン、引き下がれ。あなたは神のことを思わず、
人のことを思っている」(33節)と言って、逆に厳しい主イエスの叱責を受け
たペトロでした。そして主イエスは、このことをきっかけに、「わたしの後に
従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい」
(34節)と言って、主イエスに従う信仰者の道を説かれたのです。
 「自分を捨てる」とは、「主よ、とんでもないことです。そんなことがあっ
てはなりません」と言って、主イエスの受難に反対した、そのペトロの思いを
「捨てる」ことなのです。どんなに深い尊敬と愛の気持ちからであるにしても、
自分の思いを先にすることは、主イエスに逆らうことであり、主イエスの救
いに与って生きる信仰の歩みに逆らうことになるのです。そうであれば、私
たちはどんなに真実な思いであっても、自分の思いに固執することをやめ、
その意味で「自分を捨て」て、主イエスに「従う」ことが求められているの
です。それが、主イエスの御言葉によって生かされる救いの道なのです。
 「自分の十字架を背負って」と言われます。主イエスの十字架を自分が負
うべき十字架として受け入れるのです。主イエスの十字架を自分の罪の赦し
と救いのための出来事として受け入れるのです。自分を主イエスの十字架に
値する罪人として神の御前に言い表すのです。その意味で「自分を捨てる」の
です。その時、私たちは主イエスの十字架と復活を通して現わされた神の恵
み、生ける主キリストの命に豊かに生かされる者となるのです。