メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」


「サタン、引き下がれ」
              マルコによる福音書 8章31−33節

 ペトロが「あなたは、メシアです」(29節)と主イエスに対する信仰告白を
した直後に、主イエスは最初の受難予告を弟子たちにされました。「人の子は
必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちから排斥されて殺さ
れ、〜」(31節)と。主イエスは、弟子たちとの信頼関係を確認された後で、
ご自身のメシアとしての本当の使命(受難)をお語りになったのです。
 しかしペトロは、その受難予告に深く心を動揺させ、「主よ、とんでもない
ことです。そんなことがあってはなりません」(マタイ16章22節)と言って、
激しく主イエスをいさめたのです。すると主イエスは、「サタン、引き下がれ。
あなたは神のことを思わず、人間のことを思っている」(33節)と言って厳し
くペトロを叱られたのです。
 主イエスの受難予告に深く動揺した弟子たちでした。主イエスがイスラエ
ルの指導者たちによって排斥され、殺されるなどということは、絶対に認め
られない。排斥されるべきはイスラエルの指導者たちではないか、彼らは主
イエスをメシアとして受け入れようとしないのだから。裁かれるべきはイス
ラエルの指導者たちである、と思っていたからです。
 それにもかかわらず、主イエスはペトロに対して「サタン、引き下がれ」
と言われたのです。この言葉は弟子たちに、主イエスの受難予告以上に深い
衝撃を与えたのではないでしょうか。主イエスは、イスラエルの指導者たち
の罪だけでなく、弟子たちの罪、いや、全人類の罪の裁きと赦しのために、
ご自身の受難を考えておられたのです。その主の深いお心を弟子たちはまだ
理解することができなかったのです。