|
主イエスは、弟子たちと「フィリポ・カイサリア地方」に出かけ、そこで
「あなたがたはわたしを何者だと言うのか」（29節）とお尋ねになりました。
「フィリポ・カイサリア地方」とは、神の民イスラエルの北限の地で、ギ
リシャの神々を祭る社やローマ皇帝を神と崇める神殿が聳え立つ異教的環境
に満ちた地域です。なぜ、主イエスはあえてそのような場所に弟子たちを連
れて行き、ご自身について問われたのでしょうか。
それは、そのような異教的な環境の中で、様々の宗教が入り乱れているこ
の世の現実にもかかわらず、心から主イエスをメシアと信じる信仰に生きて
欲しいという願いが、主イエスにあったからではないでしょうか。
その時、ペトロは弟子たちを代表して「あなたは、メシアです」(29節)と
答えました。メシアとは、ヘブライ語で｢油注がれた方｣の意。ギリシャ語で
は｢キリスト｣がそれに当ります。神から遣わされた｢救い主｣という意味です。
しかしペトロは、この時初めて主イエスを｢メシア｣と信じたのではありま
せん。主イエスによって弟子として召された時から、ペトロはこのお方こそ
神から遣わされたまことのメシアであると心から信じたのです。
忘れがたい出来事がありました。主イエスに、沖に漕ぎ出して、漁をして
みなさいと言われ、その通りにしたところ、網が破れ、舟が沈みそうになる
ほどの大漁になったのです。その時、ペトロは「主よ、わたしから離れてく
ださい。わたしは罪深い者なのです」（ルカ5章8節）と言って、主イエスの
御前にひれ伏しました。その時からペトロは、主イエスこそ、罪を赦し、罪
から救ってくださるメシアである、と心から信じたのです。
|
