メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」


「パン種に気をつけなさい」

              マルコによる福音書 8章14−21

 弟子たちは、舟で向こう岸へ渡ろうとした時、自分たちがパンを持って来
るのを忘れたことを後悔していました。その弟子たちに対して、主イエスは
「ファリサイ派の人々のパン種とヘロデのパン種によく気をつけなさい」(15
節)と言われました。これによって主イエスは、パンを忘れた弟子たちの不
用意を責めているのではなく、弟子たちの心の中にある「パン種」(コリント
一5章6〜8節参照)、ファリサイ派の人々のパン種とヘロデのパン種に警戒
するように、そういうパン種が少しでも心の中に残っていると、主イエスを
信じる信仰に力強く生きることができないということを、言おうとしておら
れるのです。
 ファリサイ派の人々のパン種とは、常に自分を正しいとする思いのことで
す。ヘロデのパン種とは、この世の現実が大事だという思いです。そういう
思いが少しでも心の中にあると、どんなに豊かな主イエスの恵みを経験して
も、すぐその恵みを忘れ、この世のことや自分自身のことに囚われ、力強く
主イエスの恵みに生きることができない、と主は言われるのです。
 弟子たちは、五千人の給食、四千人の給食における主イエスの力強い恵み
を経験していながら、まるでそのような恵みを経験しなかったかのように、
自分たちの置かれた現実(パンを忘れた現実)に心を奪われているのです。
主イエスが、事実、弟子たちと共に舟の中にいてくださるにもかかわらず。
どうしたらそのような心のパン種を取り除くことができるのでしょうか。
主が共にいてくださる恵み(インマヌエル)をいよいよ深く味わい、その恵
みの中で心清められ、強められ、主が共にいてくださる恵みの力強さ、豊か
さ、救いの真実を心に刻む以外にないのではないでしょうか。それによって、
パン種から守られた、力あるある信仰の生活が与えられるのです。