メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」


「神の言葉を無にしない」       マルコによる福音書 7113

「あなたたちは、受け継いだ言い伝えで神の言葉を無にしている。また、これと同じようなことをたくさん行っている」(13)と主イエスは言っておられます。「受け継いだ言い伝え」とは、「神の言葉」(律法)をより厳密に守るために、律法から派生して来たこまごまとした言い伝え(伝承)のことです。その「言い伝え」を大事にすることで、いつの間にか神の言葉をないがしろにしている、と主イエスは言われるのです。
 その例として、「コルバン」(アラム語で神への供え物の意)(11節)が取り上げられています。親の扶養のために用いるべきものであっても、「これはコルバンです」と宣言すれば、親の扶養のために用いなくて済むという言い伝えです。この言い伝えが親の扶養義務から免れる口実として使われているではないか、と主イエスは指摘されるのです。
 神の言葉は、一人ひとりの心の奥に語りかけてくるものです。たとえ「これはコルバンです」と宣言しても、このことによって自分は「父と母を敬え」という神の律法に背いているのではないか、と心に示される(啓示される)なら、その「神の言葉」(律法)に従うことが「神の言葉を無にしない」生き方である、と主は言われるのです。
 神は何よりも主イエスを通して語って来られます。「あなたの罪は主イエスの十字架によって赦されている。あなたは主イエスの復活の命に与って本当の清さに生きることができる」と、私たちの心の内奥に語って来られます。この神の言葉を無にしないことが、神の祝福(救い)に生きる道なのです。