メッセージ  (説教より)
「マルコによる福音書」


「何も話さないように」       マルコによる福音書1草40-45節

「イエスはすぐにその人を立ち去らせようとし、厳しく注意して、言われた。『だれにも、何も話さないように気をつけなさい。ただ、行って祭司に体を見せ、モ一セが定めたものを清めのために献げて、人々に証明しなさい。』」 (43〜44節)と記されています。
 主イエスは、重い皮膚病を患った人を癒された後で、癒されたことを誰にも話さないように厳しく命じ、祭司のもとに行き、律法の定め(レビ記14章1節以下)に従って病が癒されたことを証明してもらい、それによって社会復帰を果たすように、と言われました。
 なぜ主イエスはこのように言われたのでしょうか。ご自分の癒しを「隠す」ようにしておられます。なぜでしょうか。主イエスは、ご自身の癒しが喧伝され、そのことで自分の名が人々に知られることを恐れたからではないでしょうか。主イエスはやがて、十字架と復活の出来事を通して、人の「魂」を救う救い主として御自身を現されます。それこそが主イエスの目的でした。そのためには、ただ癒しのことで自分の名が人々に知られることは好ましくない、とお考えになったからではないでしょうか。
 また、病癒された人が、律法に従って「正規の手続き」で病が癒されたことを証明することによって、社会復帰を果たし、その中で、静かに主イエスがお与えくださった恵みの意味を思いめぐらし、そのことを通して主イエスの本当の救い(魂の救い)へと導かれることを、主イエスがお望みになったからではないでしようか。病癒された人への深い配慮があったと思うのです。