メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」





「安らかに去らせてくださいます」 ルカによる福音書2章21−40節 

 シメオンは、両親によって神殿に連れて来られた幼子を見て、「わたしはこの目であなたの救いを見た」(30節)と語り、幼子を腕に抱いて、神をたたえました。
幼子は、外見上は、まったく普通の赤ん坊です。救い主らしい姿は何もないのです。外見を見る限り、従って、人間の知恵と力によっては、幼子を神の御子、救い主と知ることは不可能なのです。神に祈り、御言葉と聖霊によって心の目が開かれて初めて、幼子の中に神が共にいてくださり、神の命によって清められた、清き命をもつ幼子であることを知ることができるのです。
神と共にあり、清き命をもつお方にして初めて、罪の世にあって、正しく人間の罪を負う苦難の生涯を全うすることができ、それによって罪人を救うことができます。シメオンは、神に教えられて、幼子の中にそのような救い主を見ることができたのです。いや、そのような救い主の清き命に、聖霊によってすでに与ることができたのです。それ故にシメオンは、「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり、このしもべ僕を安らかに去らせてくださいます。」と語ることができたのです。
幼子の清き神の命に与ることによって、あらゆる囚われから解放されて、この世を去ることができる、と語ることができたのです。あらゆる囚われから解放されて、死ぬことができるということは、あらゆる囚われから解放されて、今こそ本当に生きることができる、ということです。シメオンはそのような救いの解放を語ったのです。