メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


「この目であなたの救いを見た」
            ルカによる福音書 2章22-38節

 老信仰者シメオンは「主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、と
のお告げを聖霊から受けていた」(26節)のです。聖霊によってそのような信
仰の確信を与えられたのです。
 このことは、シメオンにとって本当に幸せなことだったのではないでしょ
うか。歳をとり、体が弱り、神の御許に召される時が近づいていると感じる
ことは、それなら神が約束してくださったメシアにお会いする時が迫ってい
ると考えることができましたので、シメオンはこのメシアに対する待望によ
って死の恐れや不安から守られたからです。このように信仰の確信によって
心が支えられること自体が、信仰に励んできたシメオンに与えられた神さま
の大きな祝福だったのです。
 聖霊に導かれたシメオンは期待に満ちた緊張感をもってエルサレム神殿に
入ったのではないでしょうか。そして母マリアに抱かれて神殿に入ってきた
幼子を見て、シメオンはこの幼子こそ神が遣わされたメシアであるとの確信
を与えられたのです。聖霊に導かれた人が同じ聖霊に満ち溢れた幼子イエス
を見誤るはずはなかったのです。聖霊によって心の目が開かれたシメオンは、
人間の目には普通の赤ちゃんにしか見えない幼子イエスの中に神が共にいて
くださる恵みを見ることができたのです。そして、幼子イエスを腕に抱き、
深い喜びと感謝の中に「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり、この僕を安
らかに去らせてくださいます。わたしはこの目であなたの救いを見たからで
す」と言って神をたたえたのです。シメオンは、幼子イエスの中に神が共に
おられる恵みを見る(味わい知る)ことによって、神の臨在の恵みに与り、
あらゆる思い煩いや囚われ、死の恐れから解放されて、深い心の平安へと導
かれたのです。