メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


「メシアのしるし」
             ルカによる福音書 2章 1-20節

 主イエスが御誕生になった時はローマ皇帝アウグストゥスの人口調査が行
なわれた時でした(1節)。そのためにマリアとヨセフはガリラヤの町ナザレ
からユダヤのベツレヘムまで旅をしなければなりませんでした。臨月を迎え
たマリアにはそれは大変困難な危険な旅でした。 
 しかし、どんなに厳しい現実の中に置かれても、マリアとヨセフは不思議
な心の平安によって守られたのです。マリアの胎の命が聖霊によって神から
与えられた命である限り、この命と共に神は自分たちを守りたもう、という
確固たる信仰によって支えられたのです。嵐の中の小舟のように現実に翻弄
されながらも、マリアとヨセフの信仰は挫けることがありませんでした。そ
してベツレヘムの馬小屋という惨めな状況の中で幼子イエスを産むことにな
った時も、一人の幼子が誕生したという喜び以上に、神があらゆる困難から
自分たちを守り、無事御子イエスを誕生させてくださったという深い信仰の
喜びに満たされたのです。
 御子イエスの誕生を最初に知らされたのが、夜野宿しながら羊の群れの番
をしていた羊飼いたちでした(8節)。なぜ自分たちのような者にこのような
知らせが、という思いが彼らにはあったのではないでしょうか。「あなたがた
は、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。
これがあなたがたへのしるしである」(12節)と天使は告げました。「これが
あなたがたへのしるしである」。この天使の言葉が羊飼いたちの心を捕らえた
のです。貧しさが「メシアのしるし」であるという御言葉が彼らの心を励ま
したのです。この御言葉に支えられ導かれて、彼らは無事、感謝と喜びの中
に御子イエスを探し当てることができたのです。ここにも確かな神の導きが
ありました。そしてこの「メシアのしるし」こそ、私たちを十字架と復活の
主イエスへと導く確かなしるしなのです。