メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


「喜ばしい知らせを告げるために」
           ルカによる福音書 1章 1-25節


 神様は、長い旧約聖書の歴史の終わりに、旧約聖書の信仰を完成させつつ、
新しい真の救いの歴史を、クリスマスの出来事をもって始められました。
 クリスマスの出来事は、御子イエスの誕生をもって始められたのではあり
ません。御子イエスの先駆けとなるバプテスマのヨハネの誕生をもって始め
られたのです。ここに神様の深い救いのご計画が示されています。
 バプテスマのヨハネの誕生は、ザカリアとエリサベトという一組の祭司夫
婦の選びをもって始められました。「二人とも神の前に正しい人で、主の掟
と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった」(6節)と記されています。
ここに旧約聖書の信仰の完成を見ることができます。ザカリアとエリサベト
は神の律法を「すべて守り、非のうちどころがなかった」のです。
 「主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがない」とはどういうこと
でしょうか。神の律法をすべて守った完全無欠な人、ということではありま
せん。自分の力ではどの神の律法も正しく行うことができない貧しい罪人で
あることを知っているのです。神の赦しと助けがなければ神の律法を真に守
ることができないことを知っているのです。ですから、ひたすら神の赦しと
助けを祈り求めながら、その中で、すべての神の掟と戒めを守ろうと誠実に
努力した、ということです。そういう二人であったということです。
 しかも、二人には子供がなく、そして二人とも老齢で、もはや子供を与え
られる望みがなかったのです。しかし、そのような人生の痛みをも二人は、
アーメンと言って信仰をもって受け入れて、自分たちの人生を終わろうとし
ていた、ということでしょう。その意味でも「非のうちどころがない」二人
に「喜ばしい知らせ」がもたらされたのです。深い神の憐れみの選びの恵み
の中で、クリスマスの出来事が始められたのです。