メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


「今こそ安らかに、去らせてくださいます」

              ルカによる福音書 2章25-35

 老信仰者シメオンは、幼子イエスを腕に抱き「主よ、今こそあなたは、お
言葉どおり、この僕を安らかに去らせてくださいます。わたしはこの目であ
なたの救いを見たからです」(2930節)と語りました。「この目であなたの
救いを見た」と言っています。幼子イエスの中に神の救い、神が共にいてく
ださる神の臨在を見たのです。ただひとりの赤ん坊の中にそれを見たのです。
聖霊の助けによって「心の目が開かれる」ことによって、そのことが可能と
なったのです(2526節)。

 主イエスがメシアとして福音宣教の働きをされた時、ペトロたち弟子たち
は、主イエスのお言葉を信頼して聞くことによって、主の言葉によって「心
の目が開かれ」主イエスの中に神の救い、神の臨在の恵みを見ることができ、
すべてを捨てて主に従うことができました。しかし、律法学者やファリサイ
派の人々は主イエスの言葉を信頼して聞くことができなかったために、心の
目が閉ざされ、主イエスの本当の姿を見ることができず、かえって神を冒涜
する人間として主イエスを断罪したのです。

 使徒パウロは「キリスト・イエスを知ることの余りのすばらしさに、今では
他の一切を損失と見ています」(フィリピ38節)と告白しました。主によ
って「心の目が開かれ」主イエスの本当のすばらしさを知った時、パウロは
この世のあらゆる囚われから解放されたまことの自由に生きることができた
のです。

 シメオンも幼子イエスの中に神の救いを見ることができた時、「今こそあ
なたは、この僕を安らかにさらせてくださいます」と語ることができました。
主イエスを信じる信仰によって「心の目が開かれる」ところに、あらゆる囚
われから解放された本当の自由があることを教えられます。