メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


「この方こそメシアである」 ルカによる福音書 2章 120

 クリスマスの出来事は決して夢物語ではありません。現実に起こったこと
なのです。御子イエスがお生まれになった時は、ローマ皇帝アウグストゥス
が全領土の住民に住民登録を命じた時でした。敵であるローマの支配が徹底
的に貫かれる現実のただ中で、御子イエスはお生まれになったのです。
 マリアの胎の中には御子イエスの命が宿っていました。臨月を迎えたマリ
アにとって、ガリラヤの町ナザレから登録地であるユダヤのベツレヘムまで
の旅路自体が過酷なものでした。できれば避けたい旅でしたが、それは許さ
れないことでした。その時、マリアとヨセフの心を支えたのは、他ならない
マリアの胎の命でした。この命が、神によって与えられた命である限り、神
は決して自分たちをお見捨てにならない、必ず守りたもう、この命と共に。
そういう信仰の確信に支えられて、二人は歩むことができたのです。どんな
に厳しい、人間的には耐えられないと思うような現実の中にあっても「この
命と共に神は自分たちを守ってくださる」という信仰によって、二人の心は
支えられていたのです。そういう現実の中で、しかし、確かな神の守りと導
きによって、御子イエスはお生まれになったのです。この事実に深い慰めを
与えられます。
 「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。こ
の方こそ主メシアである」(ルカによる福音書211節)と言われています。
力強い宣言です。このお方の命に与って生きる時、誰もが力強く、望みを持
って、愛と赦しの中に、本当の清さを与えられつつ生きることができる、と
神は宣言しておられるのです。