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「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる
子は聖なる者、神の子と呼ばれる」（35節）と天使がマリアに語りました。「い
と高き方」、即ち、至高の高さにいます天の神が、地上の１人の女性マリアに臨
み、「無から有を生み出す」神の全能の御力によって、マリアの胎の中に一つの
命が与えられ、神の御子の誕生が実現されたのです。使徒信条で「主は聖霊に
よって宿り、処女マリアより生まれ」と語られている通りです。
人が「聖霊によって」生まれるとは、人類史上に例を見ない、前代未聞の、
唯一無二の、人間理性にとって永遠の躓きとなる出来事です。しかし神は、す
べての人間の救いのために、この奇跡を行ってくださったのです。
御子イエスの誕生が聖霊によるということは、御子イエスの存在の｢根底｣が、
常に聖霊によって守られ、支えられている、ということです。ですから、御子
イエスは、私たちとまったく同じ一人の人間でありながら、私たち人間が避け
ることのできない罪の肉の働きから、常に聖霊によって守られているのです。
悪をもって悪に報いることなく、善をもって、愛と赦しととりなしの祈りをも
って、悪に応じてくださる聖いお方として、地上の生涯を十字架の死に至るま
で歩んでくださったのです。それ故に、主イエスの十字架の死は、神の御前に
すべての人間の罪を赦す力を持ち、主イエスの十字架の死の真実によって、罪
と死に勝利する復活の命、神の永遠の命が明らかにされたのです。
神は、このお方によって、すべての人間の罪を赦し、すべての人を神の聖き
命に生かすために、「聖霊によって身ごもる」という不思議な、しかし真実な出
来事を与えてくださったのです。この出来事の中に、すでに深い神の愛と救い
の御心が示されているのです。
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