メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


 「必要なことはただ一つだけ」         ルカによる福音書103842


「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください」とマルタが申しますと、主イエスは「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない」と言われました(4042節)。
 主イエスはマルタの接待を喜んで受けておられました。マルタが心を乱して、不平を言わず、主の足もとで御言葉に聞きいているマリアを批判することなく、感謝して自らの奉仕に励んでいたら、主イエスはマルタの接待を心から喜ばれたことでしょう。
「必要なことはただ一つだけである」とは、即ち、主の御言葉に聞くことこそが最も基本的なことであると言っておられるのです。人の魂が御言葉によって養われ、清められない限り、人間は正しく生きることはできないし、正しく奉仕することもできないのです。人を裁かず、喜んで奉仕することができるためにこそ、人間の魂が深く御言葉によって養われる必要があるのです。そうでなければ、誰も主に喜ばれる奉仕はできないのです。
 奉仕をしたいけれど、今は、静かに御言葉に聞くことが自分には必要であると考えるなら、マリアのように、接待をせず、ひたすら御言葉に聞くことを「選ぶ」ことが許されているのです。その意味でマリアは「良い方を選んだ」のです。そして、それはマリアから「取り上げられてはならない」のです。マリアが良き業に、よき奉仕に生きるために必要なことなのですから。