メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


あなたの願いが聞き入れられた」   ルカによる福音書1章5—25節

 神は長い沈黙の後に、いよいよ救いの御業を始められました。もちろん神はその間、無関心でおられたのではなく、最もふさわしい時を忍耐しつつお待ちになり、時満ちて、ついに救いのお働きを始められたのです。メシアの先駆け(道備え)としてのバプテスマのヨハネを誕生させることをもって。
 その神の救いの働きは、決して派手な、ここに神の救いの御業が始まったと誇示するかのような仕方ではなく、慎ましく、人の目に隠された仕方で、しかも、人にやさしく、一組の夫婦の積年の願いであった幼子の誕生を聞き入れてくださるという仕方で、神は救いの御業を始められたのです。
 ザ力リヤとエリサべ卜は心から子供が与えられることを願いました。自分たちの家系の存続や老後の安泰のためではなく、ただひたすら神の御栄のために、神の救いの確かさを証する一助として子供が与えられることを願ったのです。しかし、その願いはかなわず、それも神の御心として甘受しつつ自分たちの人生を終わろうとしていた、そういう一組の信仰篤き老夫婦の祈りを聞き入れてくださるという仕方で、神はヨハネの誕生を実現されたのです。「恐れることはない。ザカリヤ、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その名をヨハネと名付けなさい。その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ」(13-14節)。人の心に寄り添い、その願いを果たし、喜びに溢れさせてくださる、そういう憐み深い恵みの神として、神は救いの御業を始められたのです。