メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


「ろばの子に乗って」   ルカによる福音書19章28−44節

 主イエスは、神の都エルサレムにおいて、十字架の死を全うし、すべての人間の罪の赦しを実現するために、ろばの子に乗ってエルサレムに入城されました。「柔和な王」(ゼカリヤ9章9節)として、どこまでも謙遜に人間の罪を負い抜くために、「まだだれも乗ったことのない子ろば」(30節)をお用いになったのです。十字架の死に至るまで真実に人間の罪を負い抜くことは、「まだだれも歩んだことのない」道なのです。その道を歩むために、ろばの子を用いることが最もふさわしい、と主イエスはお考えになったのです。
「向こうの村」にろばの子がつながれていることを、主イエスはどのように知ったのでしようか。主イエスが前もって用意されたのでしょうか。むしろ、天の神ご自身が用意されたのではないでしょうか。主イエスは、今、神の御子メシアとして、最も大切な、最も尊い受難の業を全うしようとしておられるのです。そのことのために、神はあらゆる備えをもって、主イエスを助けようとされたのではないでしょうか。そういう天の神の配慮がここに示されているのではないでしょうか。
 主イエスのエルサレム入城を歓呼して迎える弟子たちに対して、ファリサイ派の人々が「先生、お弟子たちを叱ってください」と言った時、「言っておくが、もしこの人たちが黙れば、石が叫びだす」と言われました(39節以下)。 主イエスのエルサレム入城はどんなに賛美されても、賛美し尽くされることのない尊い出来事なのです。その思いを込めて主イエスは、もしこの人たちが黙れば、「石が叫びだす」と言われたのです。