メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


「神を喜びたたえます」        ルカによる福音書1章39-56節


 マリアが聖霊によって身ごもったということは、人間の理性にとって永遠のつまずきです。まったく信じがたいことです。しかし、この事実の中に、重要な真理が含まれているのです。それは、御子イエス・キリストがその存在の初めから聖霊によって「守られて」おられたことを意味するのです。
 ガラテヤ書5章19節以下に「肉の業」が記されています。「姦淫、わいせつ、好色、偶像礼拝、魔術、敵意、争い、そねみ、怒り、利己心、不和、仲間争い、ねたみ、泥酔、酒宴、その他このたぐいのもの」とあります。 22節以下には、「霊の結ぶ実」として「愛、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制」とあります。御子イエスは、成人して、一人の人間としてこの世の現実の中を生きられる時、「アッバ、父よ」とご自身のすべてを父なる神に委ねる間に、あらゆる点で「肉の業」から守られ、「霊の結ぶ実」に豊かに生きられたのです。そういう御子イエスであられた故に、人間の罪を負う十字架の死を真に全うすることがおできになったのです。御子イエスは、そういうお方として生きるために、その存在の初めから聖霊によって守られておられたのです。
 マリアは、エリサベトに会って「あなたは女の中で祝福された方です。胎内のお子さまも祝福されています」(42節)と語りかけられた時、改めて自分の身に与えられた幸いを覚え、「わたしの魂は主をあがめ、わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます」(46-47節)と言って、心からの喜びに満たされたのです。
 この喜び(小躍りする喜び!)こそ、御子イエスを信じるすべての信仰者の喜びなのです。