メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


「マリアの戸惑い」             ルカ福音書 1章26−38節

 御使いを通して男の子を生むと告げられた時、マリアは深い心の戸惑いを覚えました。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり…」(30〜32節)。
どんなに神の恵みについて語られても、マリアは御使いの言葉を信じることができませんでした。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに」(34節)。結婚の経験のない身に子供が生まれることは絶対にあり得ないという確信が、強くマリアの心を支配していました。そのマリアの思いを覆すことは、人間的には不可能だったに違いありません。そのマリアの思いを「砕く」ためにこそ、全能の神の働きが必要だったのです。
 「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。神にできないことは何一つない」(35〜37節)。この御使いの言葉と共に、聖霊がマリアの心に働いたのです。この言葉と共に「聖霊がマリアに降り、いと高き方の力がマリアを包んだ」のです。聖霊による神の全能の働きによってマリアの心は砕かれ、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」(38節)と言って、神の御前に心から服する者に変えられたのです。聖霊によって子供を身ごもるというマリアにとっても信じがたい出来事を、聖霊の助けによってマリアが心から信じることができた時、御子の誕生は真に実現への道を辿ることができたのです。