メッセージ  (説教より)
「ルカによる福音書」


「逆らう者に分別をもたせる」    ルカ福音書1章1−25節

 クリスマスの出来事は、後にメシアの先駆けとして大切な働きをするバプテスマのヨハネの誕生から始まります。このこと自体の中に、神のきめ細かい配慮がうかがえます。
 バプテスマのヨハネは、父を祭司として、母を大祭司アロン家の娘として持つ神の民イスラエルの名門の家に生まれましたが、成人して一人の信仰者として生きる時、それら世的な名誉や栄華を捨て、独り神との交わりに生きるために荒野に退き、その中から、神を信じる信仰にとって最も大切なことは、自らの罪を神に言い表す「悔い改め」であることを悟り、悔い改めのバプテスマを人々に説いたのです。多くの人がヨハネを信頼して、悔い改めのバプテスマを受けたのです。そのヨハネが、わたしの後に来る方は、わたしよりはるかに神に祝福された方で、わたしはその人の履物のひもを解く値打もない、と語ることによって、多くの人の目が無名のナザレ人イエスに注がれ、そこから主イエスのメシアとしての活動が始められたのです。バプテスマのヨハネの働きがどんなに大きかったかが分かります。「彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する」(17節)とある通りです。
 ヨハネの両親のことが記されています。「二人とも神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった」(6節)とあります。神の御前に忠実に律法を守る生活をしていても、それで神に義とされるわけではないことをよくわきまえていたという点で、二人は「分別のある」「非の打ちどころのない」人だったのです。神はそういう二人をメシアの先駆けの両親としてお選びになることをもって、クリスマスの御業を始められたのです。