ペトロは復活の主イエスに「わたしを愛するか」と三度尋ねられました（15
〜17節）。これは、主イエスが捕らえられ裁判にかけられた時、あなたもあの
男の仲間ではないか問われ、「そんな人は知らない」とペトロが三度主イエス
を否んだことを踏まえて、主イエスがなさったことでした。主イエスはあか
らさまにペトロを叱るのではなく、ペトロの信仰を励ます意味を込めて、三
度「わたしを愛するか」と尋ねられたのです。主イエスの深い思いやりが示
されています。
　ペトロは、主イエスの十字架に躓くことによって全く主イエスの弟子にふ
さわしくなくなってしまった自分をお見捨てにならず、むしろ今こそ本当に
主の弟子として用いてくださろうとしている復活の主イエスの中に、自分に
対する主イエスの深い愛を見ることができたのです。また、最後の晩餐の席
で「わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った」（ルカ22
章32節）と語りつつ、十字架の死を遂げられた主イエスを思い返すことによ
って、主イエスの十字架が自分の罪の赦しと救いのための出来事であること
を悟ることができたのです。自分に対する主イエスの真実の愛を知った時、
ペトロは、主イエスのために自らの生涯を献げる決意を新たにしたです。
　どうしたら私たちは、主イエスが「私」を愛していてくださることを知る
ことができるのでしょうか。神の御前に、心砕かれて祈り、主イエスの霊に
与かって生かされることを知った時です。その時、私たちは主イエスの十字
架と復活が私の救いのための出来事であり、今も主イエスが聖霊によって私
のために生きて働いていてくださることを感謝と喜びのうちに知ることがで
きるのです。その時、私たちは主イエスを愛する者として生きる信仰の決意
を新たにするのです。