メッセージ  (説教より)
「ヨハネによる福音書」

「舟の右側に網を打ちなさい」   ヨハネによる福音書21章1−14節

 ペトロたちは久しぶりにガリラヤ湖での漁に出かけました。主イエスは、十字架の死よりよみがえり、生きておられる、そういう信仰の望みに生き始めた中での久しぶりの漁でしたが、その晩は一匹の魚も取れず、主イエスが復活され、生きておられるとしても、この世に生きる現実の厳しさは少しも変わらないことを思い知らされた弟子たちでした。
 夜明けごろ、弟子たちが岸辺に近づいた時、一人の人が「舟の右側に網を打ちなさい。そうすればとれるはずだ」(6節)と声をかけ、その声に従って網を下ろすと、網を引き上げることのできないほどの大漁となり、そのことを通して弟子たちは、声をかけたその人が復活の主イエスであることを知らされたのです。陸に上がってみると、すでに炭火が起こしてあり、その上に 魚がのせてあり、パンも用意されていました(9節)。
 その時、弟子たちは改めて、復活の主イエスが自分たちのすべてを知り、愛をもって見守っていてくださるお方であることを知ったのです。悪戦苦闘して魚を取ろうとし、空しく陸に帰ってきた、その弟子たちの労苦のすべてを復活の主は見守っていてくださったのです。
「舟の右側に網を打つ」とは、主イエスのご臨在を求めて「祈る」ことを意味しているのではないでしようか。祈りなさい、と主イエスは私たちに呼びかけておられます。自らの貧しい現実のただ中で私たちが、主よ、と心から祈る時、主イエスは聖霊の恵みをもって応え、主が共にいてくださる恵みの中に新しく生きる勇気と力を与えてくださるのです。