メッセージ　　(説教より） 「ヨハネによる福音書」

　「わたしの主よ、わたしの神よ」　　　　　　　　　　　　　　　　ヨハネによる福音書20章24−29節

　「戸にはみな鍵がかけてあった」（26節）とあります。閉ざされた、誰も入ることのできない部屋に、復活の主は自由に入って来られるのです。罪と死に勝利された主イエスのお体は、私たち人間とまったく同じ体でありながら、罪と死が取り除かれた、神の永遠の命に満ち溢れた聖い体としてよみがえられたのです。それ故に主イエスは、そのような自由と力をお持ちなのです。
　その復活の主イエスを、しかし、弟子のひとりトマスは信じることができなかったのです。「あの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない。」（25節）と言い張ったのです。
　そのトマスに対して、「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」（27節）と言って、復活の主はご自身の体を示しつつ語りかけてくださったのです。
　ここに、どこまでもトマスの気持に寄り添い、応じてくださる主イエスの御姿が示されているのではないでしょうか。それこそ、私たち人間の不従順の罪をどこまでも受け入れ、その罪の故に十字架の死を遂げてくださった、愛と赦しに満ちた主イエスの姿ではないでしょうか。復活の主イエスの中に、十字架の主イエスの愛が示されているのです。トマスはこの主イエスの愛に触れて、心砕かれ、「わたしの主、わたしの神よ」（28節）と言って、復活の主イエスの前にひれ伏したのではないでしょうか。