メッセージ  (説教より)
「ヨハネによる福音書」

 「王は、ろばの子に乗って」      ヨハネによる福音書12章12−19節

「見よ、お前の王がおいでになる、ろばの子に乗って」(15節)とあります。主イエスは「ろばの子」に乗ってエルサレムに入城されました。そのイエスを大勢の群衆が、なつめやしの枝を持って「ホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように、イスラエルの王に」(13節)と言って、歓呼して迎えたのです。
 人々が主イエスを熱狂的に歓呼をもって迎えた背景には、主イエスがエルサレム入城の直前に行われた、ラザロをよみがえらせる奇跡の御業(11章38〜44節)が大きく影響していました。「群衆がイエスを出迎えたのも、イエスがこのようなしるしをなさったと聞いていたからである」(18節)とある通りです。人々は主イエスを「栄光のメシア」として期待したのです。
 しかし主イエスは、栄光のメシアとしてではなく、「苦難のメシア」としてエルサレムに入城されたのです。人間の罪をどこまでも真実に、堂々と王としての威厳をもって担い抜き、罪の赦しと救いの道を神の御前に実現するために、「苦難のメシア」としてエルサレムに入城されたのです。
 人々の期待と主イエスのお考えは違っていたのです。それでも主イエスは人々の歓呼を喜んでお受けになり、まるで凱旋将軍のように、ろばの子に乗ってエルサレムに入城されたのです。今こそメシアが十字架の死を忍び抜く。それによって罪の贖いを成就する。それはどんなに賛美されても賛美され尽くすことがないほどに尊い業である。それこそ神の御子メシアの救いの業である。主イエスはそういう思いをもって人々の歓呼を受け入れられたのです。