メッセージ  (説教より)
「ヨハネによる福音書」

「父のふところにいる独り子」     ヨハネ福音書1章14−18節

 「それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた」(14節)とあります。「恵み」(カリス)とは、愛らしさ、優しさという意味です。罪の赦しと愛ということです。「真理」(アレテイア)とは、真の正しさ、聖さと言ってよいでしょう。「恵み」が深ければ、「真理」が損なわれる危険があります。「真理」を貫けば、「恵み」が失われる危険があります。「恵み」と「真理」は相反する性格をもっています。しかし、神の独り子イエス・キリストの中には、それぞれのあり方が真実に貫かれつつ、しかも矛盾することなく、豊かに満ち溢れている、と言うのです。神の御子イエス・キリストの不思議なご存在を思わされます。
 具体的には、次のような主イエスのあり方の中に示されています。主イエスは人間の罪(神の御前における不従順)を決して見逃しません。どんなに清く、正しく、美しく見える人間のあり方の中にも深く隠されている罪の汚れを、主イエスは指摘してやみません。「あなたは神の御前に罪人である」ということを、主イエスは誰に対しても容赦なくお語りになります。
 その上で主イエスは、「そのあなたの罪を私が十字架上で担ったので、あなたの罪はすべて贖われている。あなたの罪は赦されている。どんな罪も。だから、安心して私のもとに来なさい。私のもとに来て、私の聖き命に与って、生きる者となりなさい。そうすれば、あなたは本当の清さ、正しさそして真実の愛に生きることができる。」そう、主イエスは私たちに語りかけてやまないのです。
その主イエスの真実の「恵み」と「真理」に触れたとき、私たちの心は砕かれ、「主よ」と言って神の御前にひれ伏さざるを得ないのです。