メッセージ  (説教より)
ヘブライ人への手紙


「祭司の聖別」          ヘブライ人への手紙 7章22-28節、レビ記 8章 1-36節

 祭司に任職する「聖別」の儀式がレビ記8章に細かく記されています。この祭司職は、主イエスが誕生される6か月前にメシアの先駆けとして生まれたバプテスマのヨハネの時まで、旧約聖書の信仰を支える最も重要な職務として旧約聖書の歴史を貫いて営々と担われてきました。バプテスマのヨハネの誕生が、父ザカリヤが祭司として神殿内で香をたくその業のただ中で天使を通して告げられた事実によって、そのことをうかがい知ることができます。
 しかし、この祭司職は、主イエスの出現によってその使命を終えたのです。大祭司カイアファは衣を裂き、「神を冒瀆した。これでもまだ証人が必要だろうか」(マタイ福音書26章65節)と言って、主イエスの十字架刑を宣告しました。神に仕えるはずの大祭司が、主イエスを罪人として断罪することによって、祭司職の無力、否、不信仰を自ら明らかにしたのです。ヘブライ人への手紙7章11節以下で、「レビの系統の祭司制度」の終焉を語っているのはその故です。
 今や主イエスは、真に神に仕える新しい祭司職に就かれたのです。レビ系の祭司制度が成立するはるか以前に存在した、アブラハムを祝福した「永遠の祭司」メルキゼデク(ヘブライ書7章1~3節)に起源をもつ持つ祭司職に。
 主イエスは、ただ一度、神への「いけにえ」として御自身を十字架の死に献げてくださいました(ヘブライ書7章27節)。この御自身の十字架を指しつつ、主イエスは、今も、父なる神の右にあって、「永遠の祭司」として、すべての人のために執り成していてくださるのです。この主の執り成しの故に、私たちはどんなに罪深い者であっても、罪赦され、神の救いに生きるものとされているのです