メッセージ  (説教より)
「創世記」





「アブラムの召命」                創世記12章1−9節

 まったく突然、創造主なる神ヤーウェの言葉がアブラムの心の深みに語りかけられたのです。「あなたは生まれ故郷、父の家を離れて、わたしが示す地に行きなさい。わたしはあなたを大いなる国民にし、あなたを祝福し、あなたの名を高める。祝福の源となるように。」(1-2節)
 「生まれ故郷、父の家を離れて」、創造者なる神の示す地に行くということは、ただ神を信じ、神の御言葉に従って生きる者となれ、神を信じる信仰の生活をせよ、ということです。地縁血縁、世的人間的な知恵と力に頼るのでなく、ただ神が心の深みに語られる御言葉に従って生きよ、ということです。
 突然に、何の根拠もなく、人の生き方を根底から問う根源的な言葉が語られたのです。アブラムはどう思ったでしょうか。深い戸惑いがあったのではないでしょうか。なぜ私に、という思いもあったのではないでしょうか。
 しかし、創造主なる神の御言葉は、真理の言葉としてアブラムの心深くに語られたのです。アブラムは、一瞬のうちにそれが「真理の言葉」であることを悟ったのではないでしょうか。そして、この神の言葉に従うことが人間として「正しく」、神に「祝福される」生活であることを確信したのではないでしょうか。神の言葉自身が、アブラムの心を捕えたのです。
それ故に、4節「アブラムは、主の言葉に従って旅立った」のです。人間的な保証は何もないのです。ただ創造主なる神の御言葉である故に、それに従うことが正しく、確かな、神に祝福される本当の生活であることを信じて、アブラムは創造主なる神と共に生きる信仰の生活に「旅立った」のです。