メッセージ  (説教より)
「創世記」





「バベルの塔」                 創世記11章1−9節

 創世記1〜11章までは全人類が対象として取り上げられ、12章からは一つの民族(ユダヤ人)における神の救済の歴史が語られ、それが約束のメシア、イエス・キリストの出現にまで至るのです。つまり神は、バベルの塔の出来事を契機に、全人類の中から一つの民族を選び、その中からメシアを出現させ、このメシアを通して、今こそ全人類の救いの道を明らかにされたのです。
 人類の文明が発展する中で、人間が行ったことは「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」(4節)と言って「バベルの塔」を建て、それにより頼んで生きることでした。
 人間が、神の被造物ある自らを忘れ、まるでまことの神がおられないかのように、また自分が神であるかのように、自らの知恵と力を信じて、どこまでも「神不在」の行き方を貫こうとしたのです。「天まで届く塔」(バベルの塔)を建てるとは、そういうことを意味したのです。
 そこで神は、一つであった人間の言葉を混乱(バラル)させ、「互いの言葉が聞き分けられぬように」(7節)することを通して、全人類が「一つになって」神に逆らい、神不在の生き方に突き進んで滅びることがないようにされたのです。全人類の中から、神を信じる民が生まれ、その中から救い主が出現することを通して、人類が今や、言葉は違っていても、一つの思いになって神の救いに生きる道が開かれたのです。バベルの塔における神の業は、将来のイエス・キリストによる全人類の救いを意図しているのです。