メッセージ  (説教より)
「創世記」


「生涯の年月は短く、苦しみ多く」    創世記47章1-26節

「わたしの旅路の年月は百三十年です。わたしの生涯の年月は短く、苦しみ多く、わたしの先祖たちの生涯や旅路の年月には及びません」(9節)とヤコブはエジプト王ファラオに答えています。
 ヤコブの祖父アブラハムの生涯は175年、父イサクの生涯は180年ですから、確かにヤコブのこれまでの生涯は先祖たちのそれには及びません。ヤコブの全生涯147年と比べても。しかし、生涯の内容を考えるなら、ヤコブの波乱万丈の生涯は父祖たちの生涯に勝るとも劣らない、豊かなそして本当に苦しみ多い生涯でした。ヤコブ自身の罪、弱さも伴いつつ。
 しかし神は、ヤコブを見捨てることなく、あらゆる困難の中にあって豊かに導き、ヤコブの今あることを許してくださったのです。その神ヤハウェに対する深い感謝の中で語られているヤコブの述懐でありましょう。
 辛酸をなめたヤコブの生涯でした。長子の権利をめぐる兄エサウとの確執から始まり、伯父ラバンとの対決、二人の妻との結婚、息子たちの罪の後始末、等々。そして最後に、最愛の息子ヨセフを失うのです。しかしヤコブは、多くの辛酸の果てに、息子ヨセフとの再会を果たし、エジプト王ファラオによる最高のもてなしを受けながら、自らの生涯を閉じることができたのです。この祝福されたヤコブの姿に、私たち信仰者の姿を重ね合わせることができるのではないでしょうか。
 父なる神がお求めになる唯一のことは、私たちが御子イエス・キリス卜を信じることです。この信仰に生きる者を神は喜び、「神の子」としての「最高のもてなし」をもって報いてくださるのです。