メッセージ  (説教より)
「創世記」


「ヨセフと兄弟たちとの和解」    創世記45章1-28節

「ヨセフは、弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。ベニヤミンもヨセフの首を抱いて泣いた。ヨセフは兄弟たち皆に口づけし、彼らを抱いて泣いた。その後、兄弟たちはヨセフと語り合った」(14~15節)。ヨセフと兄弟たちとの感動的な和解の場面が描かれています。
和解が成り立つために大切なことは、「恨み」を残さないことです。少しでも心の中に相手に対する恨みの心があっては、真の和解は成立しません。
 ヨセフは、兄たちの暴虐によってエジプトに奴隸として売り渡され、塗炭の苦しみを味わう中で、必死で神に頼り、神が共にいてくださる恵みの内に、エジプトの行政の最高位にまで上り詰めることができました。その大いなる神の恵みの中で自らの歩みを振り返った時、ヨセフは兄たちに対する自分の過ちに気づかされました。自分が見た夢を不容易に兄たちに語ることによって、兄たちの心を深く傷つけた責任が自分にあることを知ったのです。
 兄たちも、エジプト高官の思いがけない要求に振り回され、進退窮まる中で、かつてヨセフに対して行った自分たちの悪行を思い起こし、「ああ、我々は弟のことで罰を受けているのだ。弟が我々に助けを求めたとき、あれほどの苦しみを見ながら、耳を貸そうともしなかった」(42章21節)と言って、自分たちの過ちに深い悔いを覚えました。両者がそのように導かれる中で、あのような真実の和解が成立したのです。神は、御子イエスを通して私たちを常にまことの和解へと導かれます。私たち自身がまことの「和解者」なる主イエスと和解することを通して、他者との和解の道が拓かれるのです。