メッセージ  (説教より)
「エフェソの信徒への手紙」


「キリストにおいて一つとなる」

            
エフェソの信徒への手紙 2章11-22節


 214節に「キリストはわたしたちの平和であります。二つのものを一つ
にし~」とあります。「二つのもの」とは、特にユダヤ人と異邦人の間の深
い断絶を意味しているのですが、ユダヤ社会における律法学者やファリサイ
派の人々と徴税人や罪人(犯罪者)との断絶、そもそも私たち人間社会にお
けるあらゆる断絶を指しています。そして、主キリストご自身が私たち人間
のすべての断絶を真に克服し、まことの「平和」をもたらす唯一人のお方な
のです。一人ひとりが主キリストと一つに結び合わされることによって、そ
のことが実現されるのです。
 ルカ福音書1511節以下に、主イエスによる放蕩息子のたとえが語られ
ています。兄とは律法学者やファリサイ派の人々のことであり、弟とは徴税
人や罪人のことです(12節)。兄は、放蕩に身を持ち崩して父のところに帰
ってきた弟とそれを無条件で受け入れる父親を赦すことができません。この
兄はどうしたら弟と父を受け入れることができるのでしょうか。兄が自分の
中にも弟と同じような弱さがあることに気づくことによってです。弟のよう
に身を持ち崩すことはないが、自分の中にも弟と同じような罪があることを
知るのです。その時、兄は弟を赦すことができるし、弟を無条件で受け入れ
た父親の深い愛を喜ぶことができるのです。主イエスは、そのことを語るこ
とによって、兄と弟に示されたユダヤ社会の断絶を、いや、すべての人間の
断絶を乗り越え、一つになる道を示しておられるのです。
 使徒言行録1044節以下に、異邦人が聖霊を受けたことが記されていま
す。聖霊は、ひとり旧約聖書の伝統を誇るユダヤ人にだけ与えられるのでは
なく、主イエスを信じる者には誰にも等しく与えられる神の恵みです。聖霊
こそ、すべての断絶を克服する神、主キリストの霊であり、命、力なのです。