メッセージ  (説教より)
「コリントの信徒への手紙二」


「心を燃やさないでいられるでしょうか」    コリントの信徒への手紙ニ11章16−33節

「だれかが弱っているなら、わたしは弱らないでいられるでしょうか。だれかがつまずくなら、わたしが心を燃やさないでいられるでしょうか」(29 節)、とパウロは言っています。心情溢れるパウロの言葉です。
 この言葉は、パウロに敵対する人々によって、パウロが本当に「キリス卜に仕える者」であるか疑わしいと嫌疑をかけられた時、「気が変になったように言いますが、わたしは彼ら以上にそうなのです」(23節)と言って、自分が心から「キリストに仕える者」であることを弁明しようとして語られた言葉です。謙遜の限りを尽くして、主ギリストの救いの真実を証ししてやまないパウロの情熱が込められています。
 誰かが困難に直面して、心の弱さを覚えているなら、パウロはその人と弱さを共有し、同じ弱さのただ中から、弱さに苦しむ者と共にいてくださる憐みの主キリス卜を共に仰ぎ、そのことを通してその人がキリス卜の励ましに与って強く生きることができるように、人の弱さを共にする者でありたい、そういうパウロの思いが語られているのです。
 もし誰かが信仰のつまずきを覚えているなら、その人のために十字架の死を遂げ、復活の命を現し、その人の傍らにあって(フィリピ4章5節)、常に救わんとして備えていてくださる主キリストを、どうして証しせずにいられるだろうか、頼れば、助けてくださる主がすぐ近くにおられるのに、その主の恵みを知らないで悩む信仰の友に対して、どうして福音宣教の心を燃やさずにいられるだろうか、そうパウロは語っているのです。