メッセージ  (説教より)
「コリントの信徒への手紙一」


「愛は忍耐強い」
            コリントの信徒への手紙一13章4-7節

「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。
礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜
ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに
耐える」と愛について美しく述べられています。愛の賛歌と言われます。
 ここに述べられている愛の生き方とは、一言で言えば、自分の思いで人を
愛するのでなく、自分の思いを捨てて、人をその人として重んじ、受け入れ
つつ、その人と共に生きるということでしょう。教会と信仰者の愛の基本的
なあり方が描かれています。この愛の故に、教会では一人ひとりが大切にさ
れるのです。そして人は、このように愛され、受け入れられる間に、その人
自身も同じように人を「愛する」ことを学んでいくのです。
 愛について、このように語られるには背景があります。神の御子、救い主
イエス・キリストが十字架の死を遂げてくださったことです。主イエスは、
十字架の死を遂げる時、十字架上で「父よ、彼らをお赦しください。自分が
何をしているのか、知らないのです」と言って、自分を十字架につける人々
のためにとりなしの祈りをされました。どんなに悪を受けても、悪をもって
悪に報いない、仕返しをしない。悪に負けなかったのです。愛と赦しの心を
持って十字架の死を忍んでくださったのです。この主イエスの十字架の死の
真実の故に、罪と死に勝利する復活の永遠の命の道が開かれたのです。
 私たちの現実の愛は貧しいものです。自分中心の愛になりがちです。しか
し、磐石の基盤として主キリストの愛が示されています。この愛に支えられ、
励まされつつ、このキリストの愛を指し示しながら、私たちなりに愛の業に
励みたいと願います。