メッセージ  (説教より)
「コリントの信徒への手紙一」


 「神の恵みによって今日ある」         コリントの信徒への手紙一15章8−11節

「わたしに与えられた神の恵みは無駄にならず、わたしは他のすべての使徒よりずっと多く働きました」(10節)とパウロは言っています。
私に与えられた神の恵みが「無駄にならない」とはどういうことでしょうか。私に与えられた神の恵みがいよいよ力強く私の中で生きて働き、私を強く生かしてくださる、ということです。そのためには、どうしたらよいのでしょうか。それは、神の御前に謙遜の限りを尽くす、ということです。一人の貧しい罪人として常に神の御前に自分自身をさし出すのです。それをすればするほど、神の恵み(主キリストの霊的臨在)が私の中でいよいよ豊かになり、それによって私の魂が強められ、清められ、それだけ力強く生きることができるのです。
ですから、「わたしは他のすべての使徒よりずっと多く働きました」とは、決して自分を誇って言っているのではないのです。パウロは自分が神の御前に本当に小さな人間であり、「使徒と呼ばれる値打ちのない者」(9節)であることをよく知っていたのです。そうであればこそ、一層真剣にそういう自分を神の恵みに委ねたのです。それによって、神の恵みがパウロを強くし、他のすべての使徒よりもずっと多く働くことができる者にしたのです。
自分の中に生きて働いてくださる神の恵み、主キリストの霊的臨在がどんなに尊い救いの恵みであるかをパウロは知っていたのです。それ故にパウロは、「神の恵みによって今日のわたしがある」(10節)と心からの感謝をもって語ることができたのです。