メッセージ  (説教より)
「コリントの信徒への手紙一」


 「愛は忍耐強い」              コリントの信徒への手紙一13章4−7節

 「愛は忍耐強い」(4節)とあります。口語訳では「寛容である」と訳されています。大きく、広い心をもって、その意味で「忍耐強く」人に接していく、人に仕えていく、ということです。いずれにしても、この言葉の中にすでに「わたしについて来たい者は、自分を捨て、日々、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい」(ルカ9章23節)と主イエスが言われた、「自分を捨てる」ということが前提にされているのです。
「自分を捨てる」ことができなければ、真に「他者に仕える」ことはできません。どんなに他者を愛し、他者に仕えようとしても、「自分を捨てる」ことがなければ、結局、人を都合よく自分の支配の中に取り込んで、自分の満足のために人を利用することになるのです。「自分を捨てる」ことがなければ、真に他者を他者として生かすために仕えることはできないのです。
他者に仕えるとは、人の我がままに仕えるのではありません。その人が、本当にキリストの愛を知り、キリストの救いに生きることができるように、「忍耐強く」「寛容な心をもって」仕えるのです。
どうしたら「自分を捨てる」ことができるのでしょうか。私たち自身が心から主キリストの救いを求めることによってです。どうか主が、私を憐れみ、私を捕え、私の中に生きて働き、私を清めて、主の僕にふさわしく生きることができるように助けてください、と祈るのです。そう祈る間に、私たちは自分を捨てて、他者に仕える者とされるのです。私に対する主イエスの愛を知ることによって、初めて真に他者を愛することができるのです。